日本では、「必殺技」は、アニメ、漫画、映画において当たり前、定番の存在ですよね。
少年漫画はもちろん、少女向けのアニメや漫画にも必殺技は欠かせない存在ではないでしょうか。
『ONE PIECE』なら「ゴムゴムのガトリング」。
『NARUTO』なら「螺旋丸」。
『美少女戦士セーラームーン』なら「ムーン・ティアラ・アクション」。
戦闘シーンでは、キャラクターがこれらの「必殺技」の名前を声に出しながらくり出す、ということが定番です。
戦闘シーンのある作品なら、必ずその作品の顔となるような必殺技はつきものなのです。
では、海外の戦うアニメーションはどうでしょう。
『スパイダーマン』には?『キャプテンアメリカ』には?『バッドマン』には?
必殺技というものは思い浮かばないのではないでしょうか。
もちろん、スパイダーマンは、蜘蛛の巣を操って戦うことが定番ですし、キャプテンアメリカは大きな盾を武器に戦い、バッドマンは、「バッドモービル」(バッドマンの愛車)に乗って戦うことが多いように、海外のキャラクターたちにも「定番」はあります。
しかし、これといった必殺技の名前というものは存在しないのです。
海外の戦闘ものは、技よりアクションスーツ(戦いのときの衣装)でそれぞれの戦闘に特徴をもたせているのではないでしょうか。
スパイダーマンといえば真っ赤な蜘蛛の巣柄のスーツ。
キャプテンアメリカといえばアメリカ国旗をイメージしたような赤と青のスーツ。
バッドマンといえば真っ黒のこうもりのようなスーツ。
戦闘シーンには、これぞ主人公!といったような存在感はこのスーツによって生まれています。
では、なぜ「必殺技」がないのでしょう?
それは、海外の戦闘アニメーションの多くは、
戦闘シーンでメインになるのはほとんど主人公だけから
ではないでしょうか。
『スパイダーマン』、『バッドマン』などのアニメーションに限らず、SF映画なの『ターミネーター』なら、戦闘シーンにスポットを浴びるのはほとんどアーノルド・シュワルツネッガー演じるターミネーターだけです。アクション映画でも、『ダイ・ハード』なら、ブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーン。
海外の戦闘ものには、「ヒーロー感」。これが関係しているのではないでしょうか。たったひとりの英雄が、仲間に助けられながら全世界を救う。
戦闘シーンで目立つことが出来るのは、主人公ただひとり。派手なスーツによって主人公はすでに充分な存在感を発揮しています。そのため、わざわざ必殺技に派手な名前をつけて声に出しながら、一撃を加えなくてもいいわけです。
日本の作品に戻って考えてみると、もちろん主人公はいますが、日本での英雄は、ひとりで戦うのではなく、仲間と共に戦うのです。
『ONE PIECE』のルフィには「麦わら海賊団」という仲間がいますし、『NARUTO』にも「木の葉隠れの里」という仲間がいます。
つまり、戦闘シーンに登場する人物が多いということです。そのキャラクターひとりひとりの戦闘シーンでの個性を引き出すために、「必殺技」を声に出しながら使うことは、有効な手段と言えます。
(主人公だけでなく、仲間たちにスポットがあたっての戦闘シーンが多くあります)
ここまでで、海外戦闘ものに「必殺技」がない理由がわかりました。
つづく。。。