カリフォルニアのディズニーランド、カリフォルニアアドベンチャーにカーズランドができました。
カーズランドにわたしも一度だけ、足を踏み入れましたが、圧倒的人気でした。
出来てから間もないということも人気のひとつでしょうが、理由はそれだけではないのでは?
ここで、今回はなぜカーズランドは人気があるのか、を考えることから始めたいと思います。
まず、映画『カーズ』の舞台は、ラジエータースプリングス、シカゴからロサンゼルスを結ぶルート66という道に面する小さな街です。
アメリカ人は自分の故郷やルーツへの意識が強いということをご存知ですか?
日本人も、もちろん故郷は大事ですが、わたしはこういうルーツを持っていて、こういう先祖がいて、だからこの土地に住んでいるんだ、ということを意識したり主張したりする人はあまりいないように思います。
しかし、アメリカ人は自分が生まれた土地というものをとても意識しています。それぞれが故郷やルーツを意識していて、それが当たり前のことです。
では、カーズランドがカリフォルニアに出来た意味とは。
自分たちの地元が舞台になった作品のエリアが、自分たちの地元に出来るほどうれしいことはないでしょう。
これがカーズランドが人気のある理由です。
またアナハイムのディズニーランドにいって気付いたことがあります。
それは、日本と、需要のある作品が全く違うということです。
アメリカでは、ポカホンタス、プリンセスと魔法のキス、ムーランなど、白人ではない主人公の作品が人気なのです。
日本でも始めのころは、ポカホンタスなどがパーク内に登場していましたが、最近ではほとんど見ることがありません。(需要がなかったのでしょう、、)
しかし、アナハイムのディズニーでは、どのパレードにもポカホンタスとプリンセスと魔法のキスのティアナが登場しており、Mickey's Magical Mapというショーではポカホンタスが出て来た途端、客席から大きな歓声が上がりました。(ラプンツェルなど日本で人気のあるキャラクターをさしおいて)
住む世界が違う人物と恋におちたポカホンタスは、物語の最後、自分の故郷、民族と共に生きるか、愛する人と新しい土地に旅立つかの選択に迫られたとき、故郷に残る道を選びます。
アメリカ人は、故郷・民族と恋人との愛の間で揺れるポカホンタスに共感するわけです。それは彼らにとってとても難しい選択であるからです。そしてそこで、一時の恋愛ではなく、自分のルーツ・民族を選び抜いたポカホンタスの強さに胸をうたれるわけです。
一方で、日本ではポカホンタスはそこまでメジャーな作品ではありません。それは、故郷や自分の属している民族、ルーツに対する価値観の差が原因だと思います。日本人の中にある、愛する人とのまだ見ぬ夢の世界を選ばず、ハッピーエンドにならなかったポカホンタスへの「なんで?」という気持ちがぬぐえないからです。日本人にも、家族と恋人を天秤にかけるという経験や感覚はあると思いますが、民族・故郷と恋愛を比較するという感覚は、ピンと来ないのではないでしょうか。
また、ティアナは、ディズニープリンセス初の黒人のプリンセスでした。
黒人差別問題が、未だ消えていないアメリカではこのことは話題を呼びました。
日本人からすると、黒人差別問題というのは、概要はわかっていても自分におとしこめる問題ではありませんよね。要するに、黒人プリンセスがディズニー映画に登場したということが、どういう意味を持つことなのか、がピンとこないわけです。
つまり、それぞれのアイデンティティがテーマになっている作品が人気になる傾向があるようです。日本では、人種差別もほぼないために、自分のアイデンティティを実感することはあまりないのではないでしょうか。そのため、アイデンティティにフォーカスが当たった作品をいまいち根本から理解することが出来ないのでは?
カーズランド。カーズ好きのわたしは、日本にも出来てほしい!と強く思いましたが、おそらく日本に登場してもアナハイムほどの人気は誇れないのでしょう。
それは、カーズの舞台が日本ではないからです。
それではもし、日本が舞台のディズニー映画が出来たとしたら?
(『ベイマックス』の舞台であるサンフランソウキョウは日本が舞台というよりサンフランシスコが舞台なので除外)
その映画のエリアが日本のディズニーに出来たとしたら??
そのエリアは人気が出るのでしょうか。
日本人は、あくまで現実と離れた「夢の国」を求めて舞浜のパークにやってきます。
そこに日本を舞台にしたエリアがあったとしたら、こう思うのではないでしょうか。
「現実が夢の国に介入した」
「夢の国っぽくない」
自身の故郷が舞台になったことに、うれしいとは感じると思いますが、そのエリアがパークに出来たとしても、それほどの「地元愛」は発揮されないのではないでしょうか?
アイデンティティ。故郷愛。
ここが、日本人とアメリカ人の需要の違いですね。
これは、アナハイムにいったからこそ気付いたことです。
アナハイムのディズニーから世界に広がったディズニーパークですが、それぞれの国の需要に合わせて少しずつ形を変えて行っているのではないでしょうか。日本のパークでも日本だからこそのアレンジがたくさん見つけられるのではないでしょうか?